「漢音って、どんな意味?」
漢音(かんおん)とは、漢字の音読みのひとつです。
音読みとは、中国での漢字の読み方(発音)です。
ここでは、この漢音について解説していきます。
- 「漢音」とは北部の読み方
- 漢音と「日本の朝廷」
- 漢音と呉音
という話題で漢音について見ていきましょう。
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「漢音」とは北部の読み方
「北部って?」
漢音(かんおん)とは、漢字の読み方のひとつで、7~9世紀の時代に中国から日本に伝来したものです。
漢音は、中国北部の漢字の読み方がベースになっています。
漢音と中心地の「北部」
漢音とは、隋や唐の時代の中国の
政治・経済・文化
の中心地で使われた漢字の読み方です。
その中心地が中国北部で、黄河の中流地域です。
そこには、唐の首都である長安(ちょうあん)があります。
大都市である洛陽(らくよう)も、同じ地域です。
漢音が伝来!その時期は
漢音は、中国の唐の時代(618年~907年)の漢字の読み方です。
日本に漢音が伝わったのは、奈良時代から平安初期。
7世紀から9世紀頃のことです。
「漢音」と中国の事情
漢音が日本に伝来した当時。
その頃の中国の漢字の読み方で、標準語とされたのが漢音です。
当時の中国では、北方系の漢音を中国全土の標準語とする動きがありました。
広い国土を統一するため、首都の言葉を正式とするのは自然な流れです。
漢音の伝来者たち
中国から漢音の読み方を日本に伝えたのは、遣隋使や遣唐使たちです。
また、唐に留学していた僧侶も、日本に漢音を持ち帰りました。
その留学生の中には、弘法大師(真言宗の開祖)もいたんですよ。
漢音と「日本の朝廷」
日本の朝廷は、漢音を大事にしました。
当時の唐の政策に追随すれば、両国の関係が良好になりますからね。
それで、朝廷としては漢音が
正式な読み方(=正音)
だとして、定着させようとします。
中国に留学したい僧侶には、漢音の読みを必須科目とされました。
漢音の推奨
ところが。
朝廷の意向は、あまり実を結びませんでした。
日本では、古い時代から朝鮮半島を経由して伝来していた呉音が既に一般化していたからです。
知識人には呉音が浸透していました。
そのため、漢音の浸透はゆっくりとなりました。
現在は、漢音と呉音が混在している状況です。
漢音と呉音
漢音とよく比較されるのが呉音です。
中国の北の地域の漢音。
対する呉音は、南方の漢字の読みになります。
北の漢音と南の呉音という構図です。
漢音と呉音の「読み」
漢音の読みは、少し硬めの印象。
そして呉音はマ行やナ行を比較的多めに使う、柔らかい読みです。
例えば、馬の読み。
漢音ではバ、呉音ではマ行を使ったマという読み方になります。
漢音と呉音!その伝来ルート
朝鮮半島の国百済(くだら)からの移民によって、また百済からの仏教とともに、少しずつ伝来してきた呉音。
その呉音に比べて漢音は、留学生や遣唐使などがまとまった状態で日本に持ち帰っています。
つまり、呉音を持ち込んだのは百済の人々で、ゆっくりと根付いた読み。
そして漢音は系統化され、日本の文化人が学問的に持ち込んだのです。